昔の農村地方では、女の子が生まれると庭に桐の苗木を植えました。その子がやがてお嫁に行くときに成長した桐を切って桐箪笥を作り、嫁入り道具のひとつとして持たせました。そこには嫁ぐ娘が永く使える嫁入り道具とともに嫁ぎ先から愛され、末永く暮らしてほしいという親の願いが込められています。桐は湿気を吸いにくく気密性が高い上に軽く柔らかで家具材として優れているのと同時に、成長が早く15年から20年で成木となるためこうした風習が根づいたようです。 親子3世代で桐箪笥を受け継いだというケースもあります。しかし昔の日本の住宅事情と異なり、現代では新婚家庭の住居は手狭で桐箪笥を置くスペースに困るということも多いようです。せっかく受け継いだ嫁入り道具を手放したくないという方々に注目されているのが桐箪笥のリメイクです。サイズダウンや、インテリアに合ったデザインへの塗り直しなど、現代の住宅事情に合わせた使い勝手の良い桐箪笥へとリメイクしてくれる桐たんす修理業者もあります。 日々新しいもので溢れる現代で、新しいものを手に入れることは容易ですが、伝統あるものは受け継ぐことでしか手に入りません。桐箪笥のリメイクはカタチを変えた伝統の継承かもしれません。