私達の身の回りのものの多くは、傷や汚れなどを防ぐために塗装が施されています。桐たんすでも、砥の粉仕上げや時代仕上げに代表される塗装方法があります。しかし、一般的な家具に用いられる塗装と、桐たんすに用いられる塗装とは全く異なるものなのです。
一般的な家具の場合、その多くは素材の表面に膜を作る塗装となります。その膜で覆う事によって、見た目は綺麗に仕上がりますし、お手入れも簡単になります。
しかし、この塗装方法は桐たんすには用いられません。なぜなら、桐たんすは呼吸をする家具だからです。桐たんすには調湿効果があり、湿度が高いときには湿気を吸収し、乾燥している時には逆に湿気を放出します。もしも塗装で覆ってしまいますとそれができなくなり、せっかくの桐たんすの良さが生かされないのです。また、この塗装方法ではテカテカとした不自然な風合いになってしまう事が多く、桐たんすの自然な風合いが台無しにされてしまいます。
しかし砥の粉仕上げなどは天然の塗料を用いることで、桐たんすの機能を維持しつつ、さらに美しさを際立たせてくれます。仕上げ方によっては、大きく桐たんすの雰囲気を変えたり、水や汚れに強くするといった事も可能です。間違っても、通常の家具と同じような塗装を施さないようにしてください。