桐と他の木を比べてみると、大きく異る部分に気がつくと思います。 そう、桐は他の木材に比べて「軽い」というのが特徴です。 ものの重さを比べるとき、水の比重を1として比較することが多いのですが、桐の比重は0.3程度。つまり、水の3分の1しか無いという事になります。なお、世界で一番軽い木材はパルサという木なのですが、これはメキシコ南部や南米が原産なので、日本に古来からある木材としては、やはり桐が最も軽い木材ということになります。また、強度は家具としても十分な強さを持っています。 この軽くて丈夫という性質が、桐たんすが古くから用いられる理由となっています。 昔、家財道具を持ち運ぶ際には竿に紐などで括りつけていくことがありましたが、軽ければ運び手の負担は減ります。また、桐たんすが普及してきた江戸時代、特に江戸の町は度々火災が起きていましたが、こうした時に急いで持ち出すにしても、軽いに越したことはありませんでした。 時代を経て現代の日本では、どちらかと言えば合板や海外製の重厚な木材が用いられた家具が多く出回っていますが、桐たんすも、その軽くて丈夫という性質が見直されつつあり、古い桐たんすの修理を行う方が増えているようです。